歩行装具 No,1

飛 行 装 具
Equipment for fly

空を飛びたい、飛んでみたいと、私たちはいつの頃から夢みてきたのだろう。遥かな遠い昔、この世界に様々な文明が現れてから、またそれよりもさらに昔の原始の時代から。この空を自由に飛ぶ鳥を眼に映し、その鳥の姿こそ自由なるものと、そう見えたに違いない。そして、その鳥たちのように、この世界の天井に拡がる真っ青な大空を羽ばたきたいと、この地上をその大空からの視点で眺めたいと思ってきたはずである。

何故なら、神はそれが出来るのだから。

両手を広げ大空へ羽ばたく、その手から生えた目には見えぬ翼が、上昇気流を攫み一気に雲の高さまで舞い上がる。風に乗った体は大地を見下ろし、この世界を俯瞰する。頰にぶつかる湿った空気が、時の流れを失わせ自由を得る。

かつて、この地球は恐竜たちが支配した惑星であった。大海で育まれた全ての命は、何億年と時間をかけた進化の命脈である。その中の、たった一つの種が、生存競争による偶然と奇跡に導かれ、ある時期に陸に上がる。鰭を前後の脚に変え鰓を肺に変えた。環境の急速な変化を耐え適応し生き延びたその種の生命は、陸上の草や木の実を食べる草食動物に、またはそれらの動物を食べる肉食
動物に進化した。そして恐竜が誕生し、その中のある種は前脚を進化させ翼に変えた。それは飛ばなければ生きられないという絶望からの産物であった。

進化のスピードを加速させたものは、環境の激変や生存競争によって起こった命の危険や、子孫やその種の絶滅の危機と言った絶望が発火点となる。そして人類はそういった絶望に直面した時、二足歩行を確立し、火を、武器を、言葉を手に入れたが、翼を持つことはなかった。しかし、人類は空を飛ぶことを、本当に遠い昔より、とてつもなく長い間夢みて憧れ、願い続けてきた。

現在では、ジェット旅客機やジェット戦闘機、プロペラ機、ヘリコプターや飛行船、ハンググライダー、パラグライダー、熱気球、更には宇宙ロケットといった数々の飛行のためのテクノロジーが実現された。そこに至るまでには人類は様々な挑戦と失敗を繰り返す。そして、そんな挑戦の最初の頃、鳥の模倣をし、その能力を追いかけ、飛行装具なるものを人体に装着して大空に羽ばたくことを試みたものがある。

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