昨年暮れの私の個展によせてくてた生野毅氏の言葉と私の作品を!

『神はためらう、この世の淵で』

深夜とも夜明けともつかぬ、深い海の底を思わせる空の下に、克明に陰影をたたえた壮麗な廃墟。
あるいは、〈この世の花〉と題された一連の作品における、セピア色の光の中で花開き、葉をそよがせ、茎を傾けている植物群。天久高広の描く世界はいつも驚くほど細密を極め、〈この世〉において〈この世〉ならぬ場処の静寂とダイナミズムを告知してきた。
     
その天久が、天使や悪魔、神話上の動物たちの〈化石〉を〈発掘〉し始めたのはいつ頃からなのだろう。〈死〉や〈滅び〉のさらに向こう側に遺された、天使の髑髏、悪魔の肋骨、一角獣の角…。〈神〉でさえ触れるのをためらう、それらの形象に向ける天久のまなざしは不思議な悼みと慈しみをたたえ、〈化石〉たちは〈この世〉ならぬ明澄な光をおびてゆくのだ。
     

生野毅

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