上半身は人間、下半身は山羊、頭には山羊の角を持つ牧神 “アイギパン” は、一人のニンフ(妖精)に恋をする。その恋は実らずも、アイギパンはニンフをしつこく追いかける。ニンフはそれから逃れるために一本の葦に姿を変えたが、アイギパンはその葦を笛にしてしまい身のそばに置いた。何とも強引な形でアイギパンは恋を実らせてしまう。
アイギパンは羊飼いをしている時はもとより、神々の前でもその笛を吹いていた。それだけそのニンフに恋い焦がれていたのだろうか? ギリシャ神話を取り上げた映画などでも、なんとも三枚目的で道化役のアイギパン。心優しき愛くるしいキャラである。
ギリシャ神話の神々は変身できる。ゼウスは白鳥に変身し人間の女性を娶ってしまう。伝令神ヘルメスも山羊に変身しペネロペとの間にアイギパンをもうけた。ヘルメスの変身した姿がアイギパンの遺伝してしまったわけであるが、この牧神は陽気でまた恋多き牧畜の神。
ネイティブアメリカンのホピ族の神話にも、ココペリと言う縦笛を吹く農耕の神がいる。ココペリが笛を吹くと豊作、子宝、幸運をもたらすという。
アイギパンとココペリ、こうしてデッサンしてみると、何処と無く似てはいまいか?